悪魔

そんな会話をしていると、その佐伯さんがちょうどカフェに入ってくるのが見えた。

 

 

「まっ!噂をすれば"何とか"ね・・・」

 

 

さっきまで会話してたもんだから、嫌でも意識しちゃう。

 

 

「…あ。」

 

 

 

 

彼の後ろにはきれいな女性が。

 

 

 

「…社長第二秘書の相川咲良(アイカワサクラ)さんよ…やっぱり付き合ってるのかしら」

 

 

やっぱり?

 

 

「"やっぱり"って…噂なの?」

 

 

「そう。噂だけど、真相は語られないのよね…彼女の方はいつも照れくさそうに"仲良くさせて頂いてます"とか何とか言ってるみたいよ」

 

 

蘭子の情報力に感心する。
と、共に、私の心がざわつく…

 

 

のは気のせいだと自分に言い聞かせる。

 

 

「お似合いの二人ね…」

 

 

悲しそうな声になった事に自分でも驚いた。

 

 

 

そのときオーダーする為に、二人がレジのあるこちらの方へ向かってくるのに気がついた。

 

 

「わっ!!」

 

 

慌てて視線を頼んだサンドイッチに落とす。

 

 

チラッと蘭子を覗き見ると、ガン見してるのが見えた。

 

 

"ちょっ!やめなさいよっ!!"

 

私の小声もむなしく、蘭子はなおもガン見。
"コツ、コツ、コツ"

 

 

足音が次第に近付いて来てる。

 

 

私は緊張してサンドイッチをギュッと握ってしまった。

 

 

"あ〜ぁ、中身ぐちゃぐちゃになっちゃった…"

 

 

そんな事を思ってると。

 

 

 

 

 

「あれ…君は、部長にちょっかい出されてた…」

 

 

 

 

 

ガ――――――ン。

 

 

 

 

是非思い出して頂きたくなかったです。

 

 

無視する訳にもいかず、

 

 

「あ…はい、その件ではご迷惑をお掛け致しました」

 

 

どうにでもなれと勢いよく立ち上がり、頭を深く下げる。
「ま、無事で良かったよ。君も少しは抵抗するなり頭良く動かなきゃね?…自分の身は守らなきゃ、誰かが守ってくれるとは限らないよ」

 

 

 

"ふっ"と笑う彼が少し悪魔に見えた。

 

 

 

頭まで下げたのに…こんな仕打ちあるっ?

 

 

私は半ギレ状態で顔を上げた。

 

 

 

「わかってます!!だから今後は二度とこのような事がないように、しっかり身を守りますから!…失礼しましたっ!!!」

 

 

私は勢い良く椅子に座った。

 

 

せっかくお礼言ったのにぃ〜!あんな奴なら知らん顔でもしとけば良かった!!

 

 

私の怒りは頂点だった。

 

 

まさかあんな風に言われるなんて思いもしなかったんだもん。